東京ガスとSCREEN、低コストグリーン水素製造に向けた水電解用セルスタックの共同開発に合意

東京ガス株式会社(社長:内田 高史、以下「東京ガス」)と、株式会社SCREENホールディングス(社長:廣江 敏朗、以下「SCREEN」)は、このたび、低コストグリーン水素製造に資する水電解システムの構築に向けて、中核部品である「水電解用セルスタック*1」および「水電解用セルスタックの製造装置」の共同開発(以下「本開発」)に合意しました。

本開発は、水電解装置の構成要素の中で、コストの大きな比重を占める水電解用セルスタックの低コスト製造技術を2年で確立することを目標に、東京ガスが水電解用セルスタックの仕様検討および評価、SCREENが保有するロールtoロール方式*2による連続生産技術を応用した水電解用セルスタックの製造技術および製造装置の開発を担います。
今後、本開発に併せて水電解装置のシステム化に向けた技術開発も進め、グリーン水素製造の低コスト化を実現することで、政府の掲げる水素供給コスト目標2030年30円/Nm3-H2を早期に達成*3し、将来的には、更なる水素製造コストの低減を目指します。なお、水素の用途としては、直接の利活用や合成メタンの原料としての活用を想定しています。
<本開発の概要>
東京ガスは、1998年から固体高分子形燃料電池(PEFC)の開発に着手し、2009年に世界で初めて家庭用燃料電池「エネファーム*4」の販売を開始。その累計販売台数は14万台以上にのぼります。
SCREENグループの株式会社SCREENファインテックソリューションズは、2013年から燃料電池の量産製造技術の開発を始め、電解質膜に電極触媒を直接塗工・乾燥する技術開発に成功。2016年には同技術を搭載した燃料電池製造装置「RTシリーズ」を販売開始しました。*5
本開発は、両社が長年の開発で培った燃料電池およびその製造方法に関する技術・知見を融合し、「水電解用セルスタックを低コストで量産する技術」の早期確立を目指すものです。
東京ガスは、グループ経営ビジョン「Compass2030」において「CO2ネット・ゼロへの挑戦」を掲げ、水素製造コストの低減・CO2のマネジメント技術(CCUS*6)開発を強化しています。本開発を通じ、ガス体エネルギーの脱炭素化に向けた技術開発の更なる早期実現を図り、CO2ネット・ゼロをリードすることで、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」に貢献してまいります。
SCREENは、2030年をゴールとする社会的価値向上の長期指針「Sustainable Value 2030」を設定し、さまざまな課題に取り組んでいます。当社の環境目標の一つであるCO2排出量削減目標については、気候変動の国際イニシアチブである「Science Based Targets(SBT)*7イニシアチブ」の認定を取得するなど、積極的な活動を展開しています。本開発を通じ、水電解用セルスタック市場という新たな分野での事業展開を図り、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
*1: 水を電気分解して水素と酸素を生じさせる(燃料電池とは逆の反応)薄い部品(セル)を複数積層させたもの。
*2: ロール状に巻いた長いフィルム基板を巻き戻す過程で、コーティング等の手法でフィルムを連続的に加工し、機能性フィルムを低コストで作り上げる製造プロセス。今回は、この製造プロセスを水電解用セルスタック製造へ活用するもの。
*3: 目標の達成にあたっては、本開発による水素製造システムのコスト低減に加えて、再生可能エネルギー市場の成長等により実現する安価な電力調達を想定。
*4: エネファームは、大阪ガス株式会社、東京ガス株式会社、ENEOS株式会社の登録商標。
*5: 本成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の結果得られたもの。
*6: Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage(CO2の回収・利用・貯留)
*7: パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準に抑え、また1.5℃に抑えることを目指すもの)が求める水準と整合した、5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のこと。詳細はこちら
www.screen.co.jp